目白台の街にあって緑の濃い一角である和敬塾。細川家邸宅として建てられ、現在は東京都の指定文化財になっている「本館」(詳しくは
こちらで)で、今週はいろいろな展覧会やライヴ演奏が行われます。そのひとつが、布と玩具のお店「LUNCO(らんこ)」による着物の展覧会「夏色リズム」。音楽祭にあわせてセレクトされたさまざまな着物が、レトロ・ロマン風の建物の中で息づく、まさに目白ならではのイヴェント。その鮮やかさ、美しさ、そして時をさかのぼったような感覚を味わうことができるような空間演出は、独特の風情があります。
この展覧会にあわせ、大正時代から昭和前期にかけて作られた着物を厳選。その中にはまさにレトロ・モダンな柄や色のものも多く、着物に対する認識を新しくしてくれるでしょう。帯や帯留めも「こんなものがあるのか」と思わされる模様やモティーフのものがあり、あらためてこの時代の「おしゃれ感」に目をひかれます。
オーナーのお話によると、これだけのものが一度に見られる機会は、そうそう多くはないということ。着物・和装に関心がある方はもちろん、グラフィック・デザインや大正ロマンなどに魅せられている人にも、ぜひご覧いただきたいと思います。
展覧会は、和敬塾本館のほぼ全体を使って行われます。
入り口(玄関)を入って、1階の陽光がまぶしい部屋は、こういった感じに。
ちょっと写真が暗くて申し訳ありませんが、とても鮮やかな色の着物です。
着物展示の準備をしている横でフォルテピアノを弾いているのは、音楽祭に登場するニコラウ・フィゲイレドさん。われ関せず、といったクールな感じでバリバリとモーツァルトを弾きまくっておりました。
こちらは、その部屋に展示されているもので「ダンス!ダンス!ダンス!」と題された昭和初期の一点。ツバメの飛ぶ様子が、踊っているように見えることからのネーミング。
(まさか、和敬塾で村上春樹つながりってことはないですよね。さらにまさかとは思いますが、名前を付けた方がビーチボーイズのファンだっていうこともないですよね)
それでは階段を上り、2階へと進んでみましょう。
階段に展示されているのは、中原淳一のイラストでおなじみ、雑誌「それいゆ」から抜け出てきたようなデザイン。昭和30年代のもの。
2階の広い和室では、音楽祭を意識した「夏のお出かけ」というテーマにより、実に鮮やかな色合いの着物が並びます。同じ部屋には「秋の七草」をモティーフにした帯や、シックな雰囲気の着物も。
この帯は、なんと「マンドリン」のデザイン。こういうのは、着物を見慣れていない人間にとって、とても斬新に見えます。
子供の着物を展示している部屋へと続く廊下には、大正時代の絵を組み合わせたかわいらしい屏風が。
これは華やか! しかしこうして見ると「ピンク」というひとつの単語では決して言い表せない……いや、言い表してはいけないほどの、豊富な色彩ヴァリエーションを実感します。
紫色をテーマにした一角ですが、この意味ありげな色合いといい、暗さと外光のコントラストといい、壁のモリス・パターンを模した模様といい、レポーターは勝手に「らんこの間」ならぬ「乱歩の間」と呼ぶことにしました。
言うまでもありませんが、実物の色合い、質感、そして繊細なまでに手をかけて織られたデザインの素晴らしさは、実物をみないとわかりません。ぜひ会場に足を運んでみてください。
6月20日(火)〜23日(金) 10:00〜18:00
一般入場料:800円 着物の方:500円
この入場料で次の展示や展覧会も見ることができます。
「古楽器展示」チェンバロ、スピネット、ゴシックハープ等
「月夜の森」高橋宣之写真展(文化出版局「銀花」企画)
LUNCOのウェブサイトは
こちら楽器提供、東京古典楽器センターのウェブサイトは
こちら季刊誌「銀花」のウェブサイト「銀花壇」は
こちら